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高校生のときに知り合って、もう20年以上付き合っている友達がいる。 安藤というのだが、先日、彼がこんなことを言った。
「オレたち、もう40だよ。 人生の半分が終わってるよ。 ショックだねえ」
えっ、何を言ってんだ。 半分なんて、とっくに終わってるだろうに・・。
人生が80年あるとして、半分なら40年だ。 しかし、大人になってからの時間は子供の頃のように自由だらけじゃない。 生活していくためにはお金を稼がなくてはならない。 サラリーマンの1日は半分近くが労働時間だ。 労働と睡眠と、家のことをしている時間を除いたら、ほとんど残らない。 しかも、歳をとればとるほど疲れやすくなり、元気がなくなってくる。 あれもやりたい、これもやりたいと思っていても、体力と気力と時間がなくなって、気がついたら「おしまい」になっている。 いくら健康に気をつけて、長生きしても、60を過ぎてからの1年なんて、10代の1年とは比べ物にならないくらい薄っぺらいはずだ。 これから親の介護やらが始まることを考えると、僕の人生なんて、ヘタしたら8割が終わってるよ。 子供の頃に描いてた夢が手に入るなんて、もう思えなくなっている。
「半分なんて、とっくに終わってるだろう」
そう言いかけて、ハタと気づいた。 安藤の人生は、半分残っているのか?
もし、労働時間がロスしている時間でなく、自由に使っている時間だとしたなら、安藤の言い分は正しい。 彼は、高校生のときから音楽が好きだった。 僕が初めてシンセサイザーを見たのも安藤の家だったし、MIDIなんて規格のことを教えてくれたのも安藤だった。 学校の先生より、よっぽどたくさんのことを教えてくれた安藤は、いったん公務員になったあと転職して、今では音楽業界で働いている。 ひょっとして、安藤は仕事が楽しくて楽しくて仕方がないんじゃないか。 仕事と人生がイコールになっているのではなかろうか。
僕の仕事は、人生とイコールではない。 嫌々ながらも生活のために働いている。 休日が楽しみで、休日のために働いているようなものだ。 その差が残り時間の差になっている。
先日、大仁田厚が政界引退を発表した。 安倍総理の政治手法に抵抗してのものだったのだが、その一方で「自分は死ぬ
までプロレスラーだ」とも言っている。 たぶん、好きで好きでたまらないプロレス界に戻るために、政治家をやめることにしたんじゃないのかな。
僕の人生は、半分以上が終わっている。
安藤の人生は、まだ半分が残っている。
大仁田もそのことに気づいたのだ。
Copyright(c): Momotaro 著作:桃太郎
◆「残り時間5分」の感想(掲示板)
合い言葉は「ゆうやけ」
*ネットエッセイ館は、ネット上で発表されているおもしろいエッセイを紹介するページです。
*今回の作品は、メールマガジン「夕刊プロレス」を発行している桃太郎さんさんのブログサイト「プロレスとは、桃源郷なり」
から転載させていただきました。
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