全般的な解説
このエイズ予防法が作られたのは、1987年の前半で、ちょうど日本国内でエイズが話題になり始めていたときでした。(86年11月、長野県における売春にかかわるアジア人女性のHIV感染、87年1月の神戸市における日本人で初めてのエイズ発症者、それらにおける報道が雑誌などで行われました。覚えている人もいるかもしれませんが、顔写真や名前までが掲載され、話題になりました)したがって、法律を作る側も、HIV/エイズに関する理解や知識が不足しており、中立的というか、ほんとうに患者・感染者の人権に配慮しながらHIVの感染拡大を止める、また感染した人たちへのケアを重視する、そのような法律になっているのかといえば、疑問を感じる点が多くあります。
 
教育活動等を通じてエイズに関する正しい知識の普及を...
国家予算では 毎年約100億円がエイズ関連に、そのうち約30億円がエイズに関する情報の普及啓発活動に当てられるとされていますが、私たちが国からのサービスとしてエイズに関する情報を受け取っている、と感じる機会がほとんどないのはなぜなのでしょう?学校教育の機会においても、現場の先生方の創意工夫においてのみ、エイズ教育が行われているとしかいえないのが現状ではないでしょうか。
第5条
この第5条は、プライバシーの保護という観点から問題があります。通報する医師の名前から、患者を特定できるという可能性があるからです。またそれに十分な個人情報が報告の対象になっています。
 法案の時点では、「血液凝固因子製剤の投与に...」の部分はなく、当時のHIV感染者のほとんどが(非加熱の)血液凝固因子製剤を使用してHIVに感染した血友病患者であったため、彼らの管理を目的としているのではないか、といった考えも出ていました。
第7条
この第7条は、医師と患者の信頼関係を損なう可能性がある条文として問題があるといわれています。「患者に無断で氏名が報告される」ということを考えると、患者からすると、「報告されてしまうのではないか」という医師への不信、医師からすると「患者から信頼されなくなるのでは」という心配、そのようなゆがみを発生させてしまうおそれがあるのです。
第8、9条
これも、医師と患者との信頼関係の元に成り立つはずの医療に、行政が介入する余地を与えているという問題点を持っています。

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