イギリスのコミュニティケアへの変遷
英国では、行政による社会福祉の制度がまだなかった12世紀に宗教的な背景の元に、慈善、つまり「貧しきものにほどこす」素地ができあがっていました。
産業革命の時代、経営者とその下で労働する者の経済的格差が広がった時にも富を持つ者が貧しき者、病める者、そして孤児等のサポートを行ってきたのです。
英国のボランティア活動は宗教的な教義と産業革命の社会的変革がその起源と考えて良いと思います。 英国政府がNGO的な活動をする団体の中で公的に認めた団体をチャリティと呼びます。
福祉、スポーツ、啓蒙活動、宗教関連、国際協力など現在では約18万以上の団体がそれぞれの分野で専門的な活動を行っています。英国の福祉はこのチャリティ団体の活動により支えられています。
例えば老人に対する介護サービスの運営は、チャリティ団体が行い、そしてその資金は政府が提供しているといった様に民間レベルのボランティア活動と政府との連携が英国の福祉を導いてきました。
老人福祉に関しては1980年代の福祉抑制時代(英国の景気後退時期)が終わり、1990年のコミュニティケア法の施行により、老人ホームを中心とした福祉サービスが自宅でも同等に受けられるようになりました。
かつて自立のできない老人の多くが老人ホームへ入っていましたが、今は老人ホームから自宅介護へと大きく流れています。
自分の長年住み慣れた家、数々の思い出と愛着のある家具や庭と一緒に余生を送る事は当たり前のようですが、実際には大変な事です。
また、家族の負担も大変なものでした。現在はチャリティ団体が政府からの依託事業として、介護や介助ヘルプを行います。そのサービスの担い手がボランティアの人達の活動により支えられているのです。
このような行政と民間の努力により英国では他国に比べ、低額で質のよいサービスを提供できるというシステムができあがっています。
福祉サービスの提供者(チャリティ団体)が利潤を追求しないのですから、本来利益分として上乗せされる金額が発生しません。また、チャリティ団体で働くサービス提供者(ボランティア)も、トレーニングやサポートを受けながら活動できる好ましい条件が整っています。
