CSV 参加者をレポートしてきました
麻子さんは8年前に1ヶ月間イギリス、ボーンマスに留学。この短期留学でイギリスが好きになり、帰国後すぐに「もう一度イギリスに行きたい」という思いで、このボランティア・ホリデー・プログラムを見つけた。英語力が必要ということだったので、もう一度英語の勉強を日本でしなおすとともに、夢の実現のために働きながら貯金をしてきた。

ようやく8年越しの夢が叶って渡英。英語研修中は友達と楽しく過ごしたが、いざ派遣となると友達とはなれて一人になる不安が大きかった。見送りに来てくれた友達と別れ、列車の中では涙が出てきた。しかも、派遣先はスコットランド。当初の麻子さんには厳しい現実だった。到着するなり、英語が違う、周りに友達がいない、しかも派遣先は初めてボランティア・ワーカーを受け入れるとあって、受け入れ態勢があいまい。立場を同じくする人がいないというのも不安材料だった。
麻子さんはロンドン、チチェスターでの英語研修の後、エジンバラよりバスでさらに30分、静かな郊外トラネントでボランティア活動をしている。最初はこんなに北の地に派遣になるとは考えもせず、自分はまるで島流しにあったのではと思ったこともあった。しかし、これが実は楽しいスコットランドでの生活の始まりだった。最初の1ヶ月はどんな仕事をして良いかも分からなかった。

麻子さんにとって最初の苦労は、スコットランド訛りの理解であった。ユーザーとは全く会話が通じず、ユーザーがじれったくなるような場面は多くあった。しかし、スタッフと交流が深まってくるうちに、スコットランドの言葉が耳になれるようになってきた。
「よく英語の勉強で訛りを嫌がる人がいるけれど、訛りを理解する、話すということは、地元の人とのかかわりをもつということ。私は大いにこのスコットランド訛りを楽しんでいます。」と麻子さんは言う。訛りを理解しようとすることで、気さくに話ができる。時々、スタッフから「日本人の麻子がスコティッシュを話していたら、なんだかおかしいわ」と笑われることもあるそうだ。そこに、より親近感が感じられるので、嬉しいことである。
現在、麻子さんはひとりのユーザーにかかわっている。ただし、派遣当時はスタッフも24時間体制で充実されていたので、麻子さんの仕事はユーザーが出かけるときに付き添いしたり、トイレや生活のお手伝いをしたりということであった。今ではユーザーも一人暮らしを始め、麻子さんへの責任もかかってきている。午前9時から午後5時まで、ユーザーとふたりだけで時を過ごすことになる。

曜日によってユーザーの予定が変わるのでそれに合わせた活動をしている。ボーリングやショッピングに出かける日、アートクラスの付き添い、ユーザーの実家に訪問する日などなど。外出したときは一緒にパブやレストランで昼食をとる。ユーザーさんのお気に入りのレストランもすでによく理解している。ユーザーさんは外出は好きなのだが、疲れやすいので過度の外出は控えなければならない。そのようなコンディションも整えてゆくのが麻子さんの役割でもある。外出しない日は昼食は麻子さんの手作り。どうしても和食のような味付けになり、ユーザーの口に合わないこともあったが、スタッフにスコティシュ料理を教えてもらい、新しい料理法にも挑戦している。
イングランドにも暮らしたことのある麻子さんは、ここが今までの中で一番暮らしやすく、楽しい生活を経験していると話す。また、派遣先ではユーザーやスタッフとのかかわり、ボランティア・ワーカーの集まり、 また日本人ボランティア・ワーカーとの交流など、良い友情関係を築きながら生活できるのが、ボランティア活動とプライベート・ライフとの良いバランスとなっている。この経験で、もっとイギリスが、いや、スコットランドが好きになっている麻子さんである。
麻子さんのここでももう一つの楽しみは、スコットランドの行事、文化、自然等など。積極的な麻子さんは常に自分が楽しめる方法を探している。冬は暗く寒いがお祭り、イベントは一杯。特に夏のフェスティバル、冬のホグマニー。それだけでなく民族を意識した催しや伝統文化が残っている。ケルトの文化、スコティシュダンスなど、この北の土地でなければ知ることのできなかった事柄をたくさん知り参加してきた。特にエジンバラの街は歴史があり、イングランドとは全く景観が異なる。
観光地も多く、その自然は息を呑むほど美しい。これらの観光を楽しめるのも得点のひとつである。特に夏は夜が長く、夜遊びにはもってこいの街でもある。また、スコティッシュは大のお酒好き。アルコール好きにはもってこいの派遣先である。その上、イングランドよりも人はずっとあたたかいと麻子さんは自慢げだ。それだけではない。中華スーパーマーケットがあり、和食材をはじめ、アジアの食材がそろっている。お正月はかまぼこや黒豆を買い揃えて、御節の気分を十分に味わうことができた。
