鉄道編 

      中国の主要交通機関といえば「鉄道」である。インドと同じくらい 
      広い国土を、縦横無尽に駆け抜ける電車なしで移動するのは
      かなりきつい。しかし快適なその手段を手に入れるための道のり
      は、噂以上に厳しいものである。それなりの覚悟が必要だ。


                  「切符の取得方法」

  中国東部の都会群には、大体「外国人切符売り場」があるので、なるべくそこで
  切符の取得を試みた方がいい。地元民が使う切符売り場は恐ろしいほどの人で
  溢れている可能性もある。ただでさえ人が多いのに、割り込み文化の中国ゆえ
  左右から虎視眈々と割り込む機会をうかがっている人間が多いのだ。そんな
  人間たちと遠慮がちな日本人が争っても勝ち目はない。だから、「地球の歩き方」
  に外国人切符売り場がある、と書かれているなら人に場所を聞いてそこで買おう。

              
「外国人切符売り場がない場合」

  広く中国を旅行するなら、この場合の方が多い。その時に買うコツは、英語は
  ほとんど通じないので、紙に行き先から席のクラスまで全部書いて相手に渡す
  こと。第2・第3希望まで用意しておくのも重要だ。第1希望のものがなく、次に
  どうしようなどとモタモタしてると、割り込みの格好の餌食になってしまうからだ 
  駅売り場には一列になるよう柵があったりするが、それでも切符売り員に無視
  されないよう、てきぱきと交渉するよう心掛けよう。

               
「どの席を選ぶべきなのか?」

  中国の列車席を快適順に並べると、軟臥(ルワンウォ)・硬臥(インウォ)・
  軟座(ルワンツォ)・硬座(インツォ)・無席(ウーツォ)の5つである。
  まず文字で比べると、軟らかいと硬いに分かれ、臥と座に分かれる。
  「臥」とは寝台のこと、「座」は普通座席のこと。もちろん長時間、そして
  夜を列車で過ごす場合は寝台の「臥」が快適だ。軟臥の方が値段が高い
  が、硬臥とあまり変わらないので安い硬臥の方で節約しよう。座席の軟座
  と硬座も同じようにそれほど変わりはない。

  ただ問題なのが、この寝台座席「臥」の切符はかなり取得しづらいという事。
  夏休みとか、年末年始などは、この寝台席の取得はほぼ不可能に近い。
  「寝台が欲しい」というと、紙に「硬座」と書かれて返されてしまう。つまり
  普通の座席で20時間とかを過ごせと言っているのだ。普通座席の「座」で
  15時間以上はかなりきつい。なるべくなら、軟座や硬座で長時間過ごすのは
  避けるように努力しよう。ただ8時間くらいの移動なら硬座で十分。無席
  (ウーツォ)とはまさしく席がなく、硬座の隣りの通路にずっと立っていること
  を意味する。これを20時間くらいする中国人を見てると「すごい」と感心する
  しかない。だから硬座では乗車率200%程度になってしまうため、すごく混雑
  していて居心地は悪い。通路で強引に寝るたくましい人間もいるが、トイレの
  前にも人が多いのでトイレなど行きにくい。難民列車のような感じもする。
  寝台の「臥」が取れるならそれに越した事はない。

                
「寝台席が取れない場合」

  どうしても寝台席が取れない場合、硬座で妥協する前にもうちょっと頑張って
  みよう。時間があるなら、ちょっと町を歩いてみて切符売り場を探してみるの
  も手の一つ。切符売り場は駅以外の場所にもあるので、いきなり寝台が手
  に入ることもある。コンピューター管理をしているのだが、場所によって切符
  の配分をしている場合もあるからだ。その場合、ひっそりとした切符売り場に
  残っている事もごくまれにあるかもしれない。この方法で私は上海であっさ
  西安までの人気路線の寝台を手に入れることができたのだ。

  それよりも確実なのが、旅行代理店に切符取得の依頼をすること。寝台切符
  が手に入らない理由の一つに、この代理店が大量に買い占めているという
  現実がある。ただ手数料は高く、300元くらいの切符なら100〜200くらいの
  上乗せ料金になるだろう。ただ、20時間も狭い座席で過ごすことを考えれば、
  この料金はそんなに痛くないはず。一回、硬席で長時間過ごしてみて、それに
  うんざりしたなら旅行代理店を使うことを考えよう。どうしても手に入らなかった
  寝台席が、いともあっさり「OK!」などと言われ拍子抜けしてしまったこともある。
  特に敦煌では、駅が町から3時間ほどの距離があるため、いちいち買いに行く
  のは面倒なので、旅行代理店に頼む手段が現実的である。
  もしどうしても席が確保できないなら、「バス」という手段を使うこともできる。

  私が使った手段は、あまり長距離を移動するのは諦め、少しこまかく移動して
  行くことであった。つまり「硬座」でも我慢できる距離を移動するということ。
  これだとチケットは簡単に確保できるし、イライラすることなく中国を旅行する
  ことができるのだ。ま、時間がある人でないとこの手段は厳しいけれども。

                  
「電車の中でどう過ごす?」

  インドなどに比べ、中国の電車は毛布などが備えつけてあってかなり快適だ。
  特に嬉しいのが「お湯」があること。中国の旅をするなら、お茶が作れるよう
  小さなポットと茶葉があれば便利。これらは中国で簡単に買える。お湯がある
  とカップラーメンも作れるし(中国人はカップラーメンが大好き)、何かと活用
  できる。電車に乗りこむ前に、スーパーなどでカップラーメンなどを買い込んで
  いこう。あと、列車内で中国人はトランプ遊びに夢中である。ルールはかなり
  簡単なので、一緒に混ざって遊ぶのも暇つぶしになる。

         

                  バス(長距離)編 

  列車の席が取れない時や、列車を使わなくてもそれほど時間が掛からない
  所に行くなら、簡単に席が確保できるバスを利用しよう。

  中国の長距離バスには2種類あって、普通の座席バスと寝台バスというもの
  が存在する。座席バスは普通のバスなのだが、寝台バスは異なるシステムに
  なっている。
  一つに、ゆっくりくつろげるよう座席ではなく、ベッド(みたいなもの)を2階建て
  に作っていることである。だからイスに長時間座るよりもはるかに快適だ。
  ただもう一つの特徴に、2人1組でそのベッドを使うという厄介なシステムも
  存在する。もし偶数で旅行しているなら問題ないが、奇数ならば他の知らない
  中国人と狭いベッドに密着しなければならない。男なら多少我慢できるが、
  (でもかなり厳しい)女性は耐えられないだろう。このようなバスを使うなら
  必ずペアになって乗り込もう。これを知らないで乗ると、仰天することになる。

  それと他の国と同じように、中国でも空席を作らない程の人をバスに積めこむ。
  空いたベッドに人をどんどん押し込むのだ。時に通路にまで人が溢れ、ベッド
  でゆっくりしている我々の横では、体勢も崩せない現地中国人で溢れるという
  奇妙な光景になったりする。もしベッドでゆっくりしているのが、カップルであれば
  恐らく彼らの視線をいっぱい浴びることになるだろう。こうなればかなり居心地
  は悪い。そしてこのバスを経験した旅行者の皆が言うのは、「足がくさい!」と
  いうことである。多くの汚い足が揃えば、バスはかなりスウィ〜トな香りに包まれ
  ることになる。だが、これも最初だけ。長時間乗っていれば、それも空気と同じ
  無臭になる(はず)。寝台席ではない中国人達は、こちらにちょっかいを出して
  くる事はないので、それなりに安心して乗ることはできる。

  以上を踏まえたうえで、バスでの移動は座席か寝台かを選ぶようにしよう。
  もちろんゆっくり足が伸ばせる分、寝台バスは座席バスより2倍くらい高い。
  ただ、15〜20時間の移動なら断然寝台バスの方が快適である。