January 2001
- カバー・ストーリー
「万物の尺度」リチャード・チャウディク "The Measure of All things" Richard ChwedykNt
- 恐竜というのは何か人を、こどもを引きつけるものがある。本物のサイズでは大きすぎるからサイズを小さくして、ついでに簡単な会話ができるくらいの知能を持った生き物を作ったら、こども相手のおもちゃと受けるだろう、そんなわけで作られた小恐竜が売り出された。ただ、こどもは小恐竜に章遊ばなくなる日も来る、親だって面倒を見てくれるわけではない、その他の理由で手放さろう得ないケースもある。いらなくなった小恐竜たちは捨てられる運命をたどる。姿が恐竜に似ているからといっても、もともとがおもちゃとして作られたものなので、自然で生きていけるわけもない。主人公はそんな小恐竜たちを保護している男である。
主人公の運営する施設には時々訪問者も来る。こどもの頃の相棒を捜しに来るのである。小恐竜たちは知能を備えているため、かっての体験がトラウマとなっていることもあり、必ずしも人間に好意を持ち続けているわけではない。会うかどうかを決めるのはその小恐竜自身である。再会を果たすことができた訪問者はいくらかの寄付をしていき、この施設は運営されている。その日も一人の訪問者がやってきた。
ストーリーだけみると、紆余曲折があるわけではなく、淡々とした筋運びである。こどもの頃に大事にしていたものと別れ、都合で手放すことになってしまったペットとの別離とかに繋がる思いがあると、結構泣ける話となっている。
その他の作品
- 「ああ、リレット」(多分違う)ヨーン・ハ・リー "Alas,Lirette" Yoon Ha Lee,Ss
- 多分、スペース・オペラ。三つの勢力がしのぎを削っている宇宙、主人公はそのうちの一つの勢力に属し、父親は伝説の戦士として名高いが、彼女が幼い頃に姿を消してしまっているという女性。上官から、とりあえず和平を結んでいる相手のところで、彼女の父親が不穏な動きをしているようだから止めてこいと命じられる。「ゴースト」という人工知性体のついた宇宙船で辺境地区へ赴く彼女、そこで彼女を待ち受ける真相とは、という話。
多分ページが足りていないため、及びこちらの語学力の不足もあり、背景となっている世界がつかみきれていないがするが、「ゴースト」の機能を破壊するための電磁兵器を使う「エクソシスト」という専門の船がいるなど、長編になっても面白いかもしれない。
- 「お得意さん」スティーブン・ギャランジャー "My Repeater" Stephen Gallagher,Ss
僕と雇い主がやっているのは過去へ戻る部屋を貸すしている商売。因果律の法則が働いているため、絶対に過去の自分とは出会わないようになっている。そのため一度戻れば、同じ世界に二人、何度か戻ればそれだけの人数が存在することになる。因果律を破ることができないため、過去にいっても何かが変わるわけではない、ただ幾ばくかの可能性に希望を託し、何度もこの店に通ってくる客がいる。ある日、僕はそうしたお馴染みさんの若いバージョン、つまりはじめ時間をさかのぼるという場面に出会う。時間の無駄なのでやめるように説得するのだが、相手は聞かず、主人もどうせ運命は変えられないのだ、そのままにしておけという。そうした主人の態度に腹を立てた僕は、そんなことだから娘さんに自殺されるんだといってしまう。当然店を解雇された僕は、翌日に未払い分の手当をもらいに行くと、主人は姿を消していた、過去に戻る部屋を使った形跡が残っていたまま。たとえ変えられない運命だとしても、それに挑んでしまうというテーマがストレートに出ている。
- 「月の名前」リチャード・オノパ "Name That Moon" Richard Onopa,Nt
- 月のホテル、宣伝のために月には固有名詞が実は存在していないということに目を付け、キャンペーンを打ち、名前をネットの投票で決めることにする。そのため地球からプレス関係者を招くが、やって来た女性が実は本来来るはず人物からチケットをもらっただけだったことがわかる。ついでに帰りのチケットを買うお金もないということで、何となくホテルに滞在することになり、主人公のホテルのマネージャーも心惹かれる。
宣伝のため影響力のある人造パーソナリティの番組の視聴者トークで売り込みをはかるが、この人造パーソナリティが、人類の公共財産である月の名前を宣伝行為で付けることを気に入らないと来る。締め切りが近づいてる中、得票の高い名前はとんでもない名前だった……。特にひねりも何もないが、すんなり読める。
- 「クロークド・クリーク」ロバート・リード "Crooked Creek" Robert Reed,Ss
- 引退している父親から「今度の休みに町にゴルフしに行くから、顔出せや」といわれる。父親はB−29に乗っていて撃墜され、唯一生き残ったという過去を持っている。息子の方は幽霊を見る力を持つ彼女を連れ、父親がプレイするゴルフ場(これがタイトルとなっている)へと行く。彼女は父親の後ろに意外なもの(いや、予想されるといえば予想されるものなのだが)を見て、という話。話が動き始めるまで結構長く、ついでに開かされる真実というのも、大変日常的なものである。
- 「ディナー・パーティ」ヘンリイ・スレッサー "Dinner Party" Henry Slesar,Ss
- 遺伝子改良植物に反対する動きに同調するお金持ちの未亡人が、意外なことを見つけて、という話。おちが言葉遊びみたいなので、ピンとこなかった。
- 「絨毯職人の息子」アンドレアス・エッシュバッハ "The Carpetmaker's Son" Adrreas Eshbach,Ss
- 妻、娘の髪の毛を使って一生の間に一枚だけ絨毯を作る職人、一生に一枚なので生活費その他必要なお金は前借り、払うのは息子が作る絨毯という仕掛け。ところが、今の息子は絨毯づくりに興味を示さない、父親のとった行動は。ドイツからの翻訳作品。
- 「ささやき」レイ・ヴュクセヴィチ "Whisper" Ray Vukcevich,Ss
- いびきがうるさいと彼女に逃げられた男が、どんなものだろうと録音をしてみると自分でない声が入り込んでいて……。
- 「心理探索」リック・ヒーラー "The Mind Field" Rick Heller,Ss
- フランス外務省は外交のあり方を変える新技術を開発した。相手の心理状態を映像化する装置である。早速ロシアとタタールの紛争にこれを利用するが、古典的な外交手法にかなうのか。
Indexへ・リストの入り口へ・作家別(日本語表記)・作家別(原語表記)・雑誌・書名別