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r&m BD-1はなぜ転倒するか?
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BD-1が転倒しやすい理由はフロントフォークの構造、特に 「キャスターオフセット(フォークオスセット)がない」 という大問題があるからだ。 キャスターオフセットとは、自転車のフロントフォークをよく見ると、ニョキっと前に少し曲がっている部分がある。あれの事だ。 以下の写真を見ていただきたい。 左写真の通常の自転車はハンドル部分からまっすぐ伸ばした線(写真の赤線。操縦管芯線)よりタイヤが少しだけ前に付いている。「ニョキ」の曲がりのおかげだ。 右写真のBD-1は同様に伸ばした赤い線上にタイヤが付いている。これが「オフセットがない(トレイル長がない)」という状態だ。 自転車の構造を良く知らない時には、何の疑問も持たないフロントフォークのちょっとした曲がりだが、これは自転車が安定して安全に走行できるためには、非常に重要な曲がりなのだ。 この曲がりのおかげでハンドルは前に向こうという力がかかり、手放し運転をしてもハンドルは前を向いているのだ(副作用として、衝撃吸収というクッション性能も持っている)。 自動車でも手放し運転をした時に、タイヤが勝手に前を向いて前進するように安全策が図られている事と同じだ。 (トレイル長が長いと直進安定性が良くなるが、長すぎると曲がれなくなり、トレイル長が長ければ良いと言う問題ではない。バランスを取るのがメーカーの役目) タイヤが前(進行方向)へ向こうとする安全機構は、車輪の付いた乗り物ではとても重要な事なのだ。 自分の身の回りにある自転車を確認してみれば分かるのだが、キャスターオフセットがない自転車なんてのは、見つける方が難しいはずだ。 MTBのようなフロントフォークにサスペンションが付いていてフォークがまっすぐ伸びるタイプの自転車でも、先端のタイヤ取り付け部分だけが数センチ前に出してあるはずだ。たかが数センチでも、大きな効果があるのだ。 キャスターオフセットは、難しい理屈ではないので、このリンクなどで勉強して欲しい(実際には、キャスターオフセット、トレイル長、キャスター角のバランスによって走行安定性が決まるが、設計工学の専門家ではない私には曖昧な部分が多いため、自分なりに勉強して知識を深めて欲しい)。 http://www.geocities.jp/jitensha_tanken/fork_trail.html 自転車全体の外見からは気付かない程度の「たかが、あの程度のニョキっとした曲がり」だが、「キャスターオフセットがない」という事は、機能としては「たかが」では済まない事なのだ。 台車のキャスターを思い出してほしい。 台車のキャスターは、このように真下に垂直に付いているからクルクルと回転するのだ。 ただクルクルと回転しているだけでは、台車はまっすぐ進まないので、真下からほんの少しだけタイヤの取り付け位置をずらしてある(キャスターオフセットが出されている)。 こんなほんの少しオフセットが出されるだけで台車はまっすぐに進むのだから、MTBのサスペンションの数センチ前に出ているオフセットの効果がいかなるものかイメージできるであろう。 こうして台車は、クルクルとキャスターが回転して小回りが利く性能を出しつつ、直進性も確保しているのだ。 このクルクルと回転するおかげで台車は小回りが利いて便利なのであるが、台車は4輪だが、自転車は2輪である。 台車はクルクルとキャスターが(自転車でいえばハンドルが)回転しても、4輪であり、回転するキャスターにハンドルは付いていないので、自転車のようにハンドルを取られて転倒する事はない。 しかし、自転車は2輪で、台車のキャスターに相当する部分にハンドルが付いているため、ハンドルがクルクルと回ってしまっては、運転などとても出来ないわけだ。 4輪の車ですら、トレーラーのジャックナイフ事故を思い出せばわかるように、操舵車輪が急に切れる危険性は十分に分かる事と思う。 しかも、台車は直進性よりも「小回りが利く」事が道具の性能として求められているのだが、自転車は小回りよりも「直進性」が道具の性能として求められているのだ。 キャスターオフセットがあるという事は進みたい方向にまっすぐ安定して進むという性能を出すには重要なファクターなのである。 したがって、BD-1で手放し運転が出来ない理由は、このキャスターオフセットがない事が原因だ。 手放し運転だけではない。BD-1で速度が上がってくると、自転車がブレ始めて安定感がなくなり、下り坂などで恐怖を感じる理由の多くはこの「キャスターオフセットがない」事から来ているものと思われる。 キャスターオフセットのないBD-1のハンドルは、台車のキャスターと同じ原理でクルクルと回転してしまうのだから当然だ。 ただ単に回転するわけではない。BD-1のハンドルは真横(90度)ないし、真逆(180度)を向こうとするのだ。360度クルクル回る方向ではなく、BD-1のハンドルは、進行方向とは反対に進もうとしているのだ。 「なぜ、BD-1にまたがって信号待ちなどでハンドルから手を離すと、クルっとハンドルが切れてしまうのか?」 という理由は、ずっと疑問だったのだが、横に向くハンドルが止まる位置を見ていて、以下のような原因ではないかと思われる。 この写真はBD-1ユーザーなら常識である、キックスタンドに立てた時にハンドルが自然に勝手に切れて90度横を向いてしまった状態を、正面から見た写真だ。 写真を見て分かるとおり、タイヤが90度反転すると、赤線の軸が直交し安定するのだ。 「なぜ直交すると安定するのか?」 は、BD-1を真横から見た以下の写真を見ると分かる。ハンドル真下のフロントフォーク部分がタイヤの付いてる部分より下に下がっている(左下がりになっている赤線)。 フロントフォークは、「丸いハブ」の上に乗っているのだ。言わばボールの上に置いた板のような状態なのだ。 ボールの上に置いた板が一番安定するのは、ボールに対して板をまっすぐ乗せた時だ。 ボールに対して水平ではなく、斜めに板を置けば、安定しないのは当然のはずだ。 だから、BD-1のハンドルは90度横に切れようとするではないかと思う。 私は有機化学が専門なので、この自論を設計工学的計算式で証明する事は出来ないのだが、頭の中のシュミレーションでは、タイヤの付いている部分のフロントフォークの内角の角度が90度以上ある事が問題なのだと思う(上記写真の赤線)。 おそらく内角を90度以下にすれば、ハンドルが横に向こうという動きがグッと減って、BD-1の直進安定性はずっとよくなると思う(上記写真の緑線)。それでも、キャスターオフセットがない事が影響し、走行が安定しないものと思われるが。。。 (BD-1のフロントフォークの形は、フロントフォークにかかる力をうまく分散させる設計になっていると言われているので、フロンとフォークの形を変更すれば強度も見直す必要があるだろう) 赤線と逆に、90度以下にすれば、かなり安定するものと予想される。というのは、 「BD-1のハンドルが反対を向こうとしているなら、いっその事、反対に付けてしまえ」 という事でフロントフォークごと反対に付けて走行テストをしてみた事がある。その直進性は抜群に良くなった。 しかし実際にはフロントフォークを逆に装着して乗る事はできない。 なぜなら、今度は曲がれなくなるからだ。ハンドルを切って曲がるというより、バイクのハングオン状態にしなくては曲がれないのだが、自転車の走行スピードでハングオンは無理だ。 従って、上述フロントフォークの内角を90度以下にする事は別の問題を生む事が予想され、現実的な対策には成りえない可能性が高い。 「俺は手放し運転をする気はないから、BD-1で手放し運転できなくたって関係ない」 という理屈を持ち出す人を見かけるのだが、そういう問題ではない事が十分分かったと思う。 「手放し運転が出来ない = 走行安定性がない = 危険」 という事だ。 BD-1では、片手運転や立ち漕ぎすら非常に不安定で、後方の安全確認で振り返るだけで転倒しそうになるのは、すべて上記のキャスターオフセットがない事を主因としたハンドルの不安定性から来ている。 次項では、ちょっとしたアブノーマルな動きからBD-1が大転倒していく仕組みを考察する。 2007.11.30
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