競泳一般用語


【短水路】(たんすいろ)
25メートルプール。略して短水と言う事が多い。主に、冬場の試合に使われる。長水路よりターンの数が多い分、50Mにつき約1秒タイムが速くなる。
 

 

【長水路】(ちょうすいろ)
50メートルプール。略して長水ということが多い。一般に長水路ではターンが少ない分、短水路に比べ50メートルにつき1秒遅くなる
 

 

【バタ、バッタ】(Bu, Fly)
バタフライ。元々、平泳ぎのフォームの1つだった。昭和29年にバタフライとして独立した歴史を持つ。そのため初期のバタフライはキックがブレストキックだった。その後、長沢次郎さんにより、ドルフィンキックが開発され、現在のバタフライのフォームとなった。
1990年代半ば、青山綾里さんが、15年ほど破られていなかった、当時最古の世界記録であった女子100Mバタフライで世界記録に、潜水泳法(バタ版バサロ)で迫ったために、バタフライも潜水は15Mに制限されてしまった。
 

 

【バック】(Ba)
背泳ぎ。1988年ソウルオリンピックで鈴木大地さんがバサロスタートを駆使し、金メダルを獲得。しかし、日本人が潜水で金メダルを獲得したことが原因でバサロスタートは15Mに制限されることになった。
バサロスタートは、1970年代後半にアメリカのジェシー・バサロさんが開発したため、バサロスタートという。しかし、鈴木大地さんが世界で頭角を現すまでは日本人くらいしか使う選手がいなかった。
 

 

【ブレスト】(Br)
平泳ぎ。抵抗の一番多い種目。パワーだけでなくテクニックが勝敗を決めるため、日本競泳の得意種目。
潜水泳法が初めて禁止された種目。1956年メルボルンオリンピック金メダリストの古川勝さんが潜水泳法であまりに強すぎたため、古川潰しで潜水禁止のルールが出来た。
その後、高橋繁浩さんのように「水没禁止」というルールで曖昧な失格がとられるようになった。1987年に現在のルールに変更になり、1ストローク中に頭が水上に出ればよいことになった。
 

 

【フリー】(Fr)
自由型。一般にクロールをフリーと呼ぶ。しかし、クロールでなくても何で泳いでも良い。ただ、クロールが現在最も速く泳げる泳法であるために、フリースタイルといえば、クロールである。クロール以上の泳法が開発されれば、クロールはクロールと呼ばれるようになるはずである。
ただし、最近フリーも潜水禁止というルールが出来た。ので、もう厳密な意味では自由型ではなくなった。
 

 

【コンメ】(コメ、個メ)
個人メドレー。バタ、バック、ブレスト、フリーの4種目を泳ぐ。
 

 

【ヨンケイ】(4継)
400Mリレーの事。一人100Mづつ泳ぐ。
 

 

【ハッケイ】(8継、ハチケイ)
800Mリレーの事。一人200mづつ泳ぐ
 

 

【S字ストローク】
20世紀末期まで使われたクロールのストローク技術。
泳ぎの達者な人たちのクロールを観察すると、S字状にストロークしていた事から、「クロールを速く泳ぐための必須テクニック」として1990年代末期までの数十年間、クロールの絶対的常識テクニックの地位にあった。
体の中心線でローリングを行いながら(中心1軸泳法)、「アウト - イン - アウト」でストロークを行った手の軌跡がS字状であった事が名前の由来。
この時代のS字ストロークでは、ストローク動作の「フィニッシュ」に加速の重点を置いていたため、さかんに「フィニッシュ」という言葉が使われた。
しかし、2000年前後に活躍したイアン・ソープ選手が、S字ストロークを使わず、まっすぐに手を引っ張るストロークをしていた事から、S字ストローク神話に疑問が広く持たれるようになった。
ただし、S字ストローク神話が崩れるきっかけは、飛びぬけた世界記録で勝ち続けたイアンソープ選手のストロークではあったが、イアンソープ選手以前にもS字ストロークを使わない選手はおり、イアンソープ選手が開発したわけではない。
「常識テクニックを採用しない飛びぬけて速い世界記録保持者」の登場が、みなの目に留まり、S字ストロークの絶対常識を議論するきっかけになったのがイアンソープ選手だっただけの事。
ちなみに、このS字ストローク時代のキックを打ち込むタイミングは、入水する手と反対の足をクロスに打ち込む事が良いとされていた。
 

 

【I字ストローク】
S字ストロークの次に登場した、クロールのストローク技術。2009年現在、主流のストローク。
ストレートストロークとも言うが、S字ストロークの直後に登場したテクニックだったため、「S字」に対比して「I字」というネーミングが一般的に使われるようになった。
I字ストロークは、単に「S字状にストロークをするのをやめれば良い」わけではなく、「肩甲骨を開いて動かす事とセットで行い、ストロークをより前方で行って、ストローク終盤は腰付近で抜く」というテクニックを身につけなければ、速くはない。水泳初心者のストレートストロークと似てはいるが、新しいテクニックの分だけ、高度な体の使い方が要求される。
ちなみに、I字ストロークでは、入水する手と同じ側の足を打ち込む事が比較的良いとされている。
しかし、中心一軸S字ストローク神話の頃のような「絶対」という概念はない。「キックは自分のやりやすいように打てばよいし、プルも自分の回しやすいようにリカバリーすればよい」という選手個々人の「自然」に任せる雰囲気がある。
 

 

【二軸泳法】
20世紀にクロールで主流だった「中心一軸S字ストローク」技術と対比した表現。
S字ストロークが、体の中心線でローリングをしながら、体の中心線から「アウト - イン - アウト」のストロークを行ったのに対し、I字ストロークでは、肩のライン上でまっすぐに引っ張るために、ローリングを昔のようには大きく行わずに、肩甲骨や骨盤を使って、前後にストロークした事から、「中心一軸」に対して、「二軸」といわれる(「左右の肩」で「二軸」)。
ただ、厳密には「完璧な二軸」ではなく、かなり曖昧で、「二軸泳法」という言葉に抵抗を感じる選手や研究者は多い。しかし、すでに廃れてしまった「中心一軸S字ストローク技術ではない新しいストローク技術」と表現するよりも「二軸泳法」と表現した方が、端的に表現できるので現在の所、特に大きな問題もなく、使われる事が多い。
二軸という言葉は、陸上界で先に使われており、水泳界には2002、2003年ころから徐々に使われ始めた。
しかし、その頃、「I字ストローク」という言葉すら普及しておらず、「イアンソープ選手はS字ストロークじゃないのに速い。なぜ?」と言われていた時代だった。
2004年アテネ五輪辺りから徐々に普及し、2008年北京五輪の頃には「中心一軸S字ストローク神話」を信じる現役選手は、見かけなくなった。
 

 

【ストレートアーム】
クロールで「中心一軸S字ストローク」技術が神格化されていた時代、「プルのリカバリーは、腕の力を抜いてリラックスし、リラックスするのだから、肘は曲がるはずで、肘を曲げて肘を先行させてリカバリーするのが当然楽だ」というこれまた、神話があった。
しかし21世紀に入って、手を伸ばしたまま振り回すようにしてリカバリーしても速く泳ぐ選手が多く登場し、「これまでのリカバリーとは違って、肘が伸びて回している」という表現を一言で表せる「ストレートアーム」という言葉が使われるようになった。
「二軸I字ストローク」技術が一般的に普及し始めた2009年現在、「クロールプルのリカバリーは、自分の好きなようにやればよい」という雰囲気であるため、「ストレートアームが速い」という神話はない。
古くは、1980年代後半に活躍し、その後19年もの長きに渡って世界記録を保持する事になったジャネット・エバンス選手もストレートアームであったが、彼女の水中ストロークや呼吸動作とともに、当時の「中心一軸S字ストローク」神話から彼女のテクニックがとてつもなくかけ離れていたので、「彼女の泳ぎは汚い。けど速い。なぜ?」と言われるだけで、「ストレートアーム」というネーミングがテクニックのひとつとして認識されたのは、極最近である。
日本でストレートアームが一般的に認知されるようになったきっかけは、100M自由形で世界に遅れる事30年かけて日本人で初めて50秒の壁を突破した佐藤久佳選手が、次の壁である49秒を突破した2007年に、「数ヶ月ほど前からストレートアームを取り入れて、いい感じだったので採用した」という話が出てからで、2008年頃から日本でもストレートアームの選手が一気に増えた。
これ以来、「肘を曲げて、肘を先行させてリカバリーする」という神話を口にする人は突如として見かけなくなった。
また、独特のフォームで泳ぐ佐藤久佳選手の登場が、それまで日本の自由形界が引きずってきた「中心一軸S字ストローク」神話にメスを入れ、「I字ストローク」や「二軸泳法」という概念が一般選手にまで一気に普及するきっかけともなった。
 

 

【伏し浮き】
推進力ゼロで水面に一直線に浮き続けるテクニック。
伏し浮き自体は、言葉自体も古くからあったが、競泳テクニックの重要性として一般的に認知され、否定する選手がほとんどいなくなったのは、極最近(2008年前後)。
古くは「泳速で浮き上がる揚力」や「スカーリングによる揚力」があるので、「推進力がゼロで浮き続ける」というテクニックに競泳的必要性を唱える人はほとんど存在しなかった。
少なくとも2003年頃に、日本の競泳選手で唱える人は、まずいなかった(一部いましたが)。
I字ストロークなどが唱えられるようになってから、その重要性が認識されはじめ、2008年北京五輪付近を境にして、競泳選手でも必須テクニックとしてかなり一般的に認知され、小学生の練習でも良く見かける風景になった。
「中心一軸S字ストローク」にまつわる技術は、クロールやその他の種目の進化に、長年大きく貢献したが、その功績が大きい反面、神格化され過ぎた面があった。
そのため、つい数年前まで(2007年頃まで)は、ネットなどでも、伏し浮きテクニックを「泳げないカナズチのための練習で、競泳選手には必要ない」「スカーリングすれば浮くけど、何もせずにその場に浮けるはずがない」といったような馬鹿にする風潮があり、競泳テクニックの転換期に5〜6年ほど足を引っ張った面もある。(中心一軸S字ストローク神話の呪縛から解かれたのか、2008年頃から日本男子自由形も、徐々に世界に通用し始めてきている)。
 

 

【ハイエルボー】
20世紀末期までさかんに言われたテクニックで、中心一軸S字ストロークの衰退とともに、使われなくなっていった言葉。
「肘を立てて、肘から先だけを折り曲げるようにしてストロークを開始する」ため、肘が手先よりも高い位置で保たれる事から、「ハイ(高い)エルボー(肘)」と言われた。
4種目共通に使われた言葉だったが、21世紀に入って、肩甲骨を使ってストロークする方法に変わったため、2009年現在では死語に近くなっている。
現在のストロークでも肘は高い位置にあるが、その動かし方の違いから「ハイエルボー」という言葉からイメージされる動作とはまったく違うため、死語となっている。
初心者がやる「水をなでるストローク」を矯正する場合には、ハイエルボーも良いストロークだが、水をなでなくなってきたら、肘から先の動かし方よりも、肩甲骨の動きにストロークの主体を移して行く方が、現代版のストロークになる。
 

 

【潜水泳法】
水中を泳ぐ泳法。
水の抵抗は、水面下約30cmの所で泳ぐのが一番抵抗が多いと言われている。
その原因は、水面を泳ぐと、波が発生し、推進力を波のエネルギーにとして消費してしまって、エネルギーロスを起こすため。これを造波抵抗という。
造波抵抗を避けるためには、モーターボートのように水上に浮き上がって泳ぐか、いっそのこと水中に潜るほうが良い。人間はモーターボートのようには水上に浮上する事は難しいので、潜水泳法の方が水の抵抗を避けて速く泳ぐ良い手段となる。
しかし、潜水すると呼吸が出来ないので、後半に疲労が一気に来て、失速の危険がある。このため西洋では、潜水泳法は結果的に不利だと考える傾向がある。
日本人は、疲労からの失速の問題を、「根性」という精神論でクリアーしてしまうため、日本人が潜水泳法を使って金メダルを採ると、西洋人はルール変更を行って、日本人潰しを行う。
現在はすべての泳法で、西洋人にも真似する事のできる15Mに、潜水は制限される事になった。
 

 

【水没】
平泳ぎで、潜水泳法が禁止され、平泳ぎは絶対に頭が水面下に沈んではならないというルールが出来たため、頭が沈む事を「水没」と言っていた。現在は、1ストローク中に一度頭が水上に出ればよいので、水没という言葉はなくなってしまった。
 

 

【日本水泳連盟】
オリンピック、国体、インターハイ、インカレ、日本選手権に出るにはこちらに所属。
 

 

【日本マスターズ水泳協会】
こちらではオリンピックは出れない。18歳以上の年齢制限がある。5歳刻みの階級別制である。ただし、18〜25歳区分は日本だけ。したがってこの年齢区分だけは、世界記録はない。タイムより、泳げなくても楽しくやるのが目的。
 

 

【スイマガ】
スイミングマガジン。ベースボールマガジン社から出ている競泳では歴史のある雑誌。
 

 

【SPEEDO】(スピード)
スポーツ用品のミズノの水泳ブランド。「速さ」の意味のスピードとは、語尾の「O」のある、なしの差です。
 

 

【ARENA】(アリーナ)
スポーツ用品のデサントの水泳ブランド。プールサイド(競技場内)を観客席と区別して「アリーナ」と表現するが、それとは関係ない。
 

 

 


練習用語、練習道具名


【プル】(P)
手のストローク(かき)をいう
 

 

【キック】(K)
足のけりをいう
 

 

【コンビ】(C、コンビネーション)
プル+キック
 

 

【アップ】
練習、レース前の準備swim。
 

 

【ダウン】
練習、レース後の疲れをとるためのswim。
 

 

【ビート】
1ストローク中何回足を蹴るか。6回蹴れば6ビート。クロールやバックでは2ビート、4ビート、6ビート、変則2ビート、変則4ビートなどがある。バタフライは通常2ビート。平泳ぎはあおり足は禁止なのでビート表現はない。
 

 

【パドル】
プルの練習の時、手につける板。
 

 

【プルブイ】
プルの練習の時、下半身が沈まないようにするため股にはさむ浮き。ブレストのウィップキックの練習にも使う。
 

 

【ゴーグル】
水中眼鏡。
 

 

【セイム】
スポンジタオル。もともとは車の洗車後の水の拭きとり用。
 

 

【キャップ】
水中帽。シリコン、ゴム製が主流。メッシュは日本人だけのようだが、最近はオリンピック選手でもメッシュを着ける選手が出てきた。
 

 

【レーザーレーサー】
SPEEDO社が開発し、2008年に一般発売した高速水着。
スポンサー契約した選手だけは、2007年から着用して大幅な記録アップをしていたが、当初は契約選手だけだったので、その異常なまでの高性能には、誰も気付かなかった。
五輪代表選手たちにレーザーレーサーが支給され始めると、ルールに抵触しているパネルを水着に貼り付けた事が高速化に繋がっていたため、従来の世界記録を100Mで1秒近く縮める選手が、続出。
しかし、FINAがこの水着に「問題なし」という決定をしたため、直後に開催された2008年北京五輪では、レーザーレーサーを、「着る/着ない」、スポンサー契約上の問題で「着れる/着れない」などが問題となった。
この騒動が、高速水着開発の火付け役となり、2009年には、より浮力の大きいラバー製やポリウレタン製の高速水着が、無名メーカーからもぞくぞくと登場し、世界記録が続出(半年間に50個以上)という異常事態に発展した。
例えば、2009年の世界選手権では、北京五輪で前人未到の8個の金メダルを獲得し200M自由形の世界記録保持者だったマイケル・フェルプス選手は、SPEEDO社とスポンサー契約を結んでいるため、レーザーレーサーしか着れず、自己記録を1年で4秒以上縮めてきたパウル・ビーデルマンに1秒以上の大差で破れ、世界記録保持者の地位から陥落した(1秒以上の大差なので、水着の性能差だけが勝敗を決めたわけではない)。
フェルプス選手側は、「今大会以後の大会をボイコットする」事をチラつかせて、水着問題に抗議の意思を示した。
(ただし、2007年にSPEEDO社の契約選手の地位によって、発売前からレーザーレーサーを着用して世界記録で勝ちまくっていた時には、何も言わなかった。世界選手権で自分が負けた直後に、初めて水着問題に苦言を言い出した)
このように、SPEEDO社との契約選手以外でレーザーレーサーを着用する選手はほとんどいなくなり、レーザーレーサーの地位もわずか1年で瓦解する。
世界選手権大会直後に、10年以上さかのぼるほどの厳しう水着規制が2010年1月から適応される事が決まり、結果的にSPEEDO社はレーザーレーサーの開発によって自分で自分の首を絞める事態を招いた。
(水着の面積が規制されたので、今まで主力商品で売って来たフルスーツタイプの高額水着が作れなくなった)
 

 

 

 

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