A Day in the theirs Life


BY ゆうきゆうき


 深夜、ブライアント家のリビングルーム。居心地の良い大きなソファーに寝転がってジャッキーが海外で行われているカーレースの生中継を見ている。ジャッキーの足下にはゴールデンレトリバーのリーが大きな身体を丸くしてすやすやと眠っていた。
 ウィスキーのグラスを傾け、レースを観戦していたジャッキーはレース結果を確認すると立ち上がった。シャワーを浴びて眠ろうと自室に向かおうとしたジャッキーは妹、サラの部屋の明かりがまだ煌々と輝いているのに気付き、サラの部屋の前で立ち止まる。後ろからついてきたリーもぴたりと寄り添い、足を止めた。
「サラ、まだ起きてんのか?」
 コンコンとドアを軽くノックして声をかけると、サラが顔を出す。
「あ、兄さん。ええ、どうしても明日までに仕上げなきゃならないレポートがあるの」
 少し疲れた表情でサラが答えた。
「そっか、大変だな。コーヒーでも入れてやろうか?」
 優しく微笑んでジャッキーが言う。
「ありがとう、兄さん。お願いするわ」
「了解。眠くならないように思い切り濃いやつ、入れてきてやるよ」
 ウィンクを一つ飛ばしてジャッキーがキッチンへ向かう。その後ろをリーがてくてくついて行った。

「サラ、コーヒー入れてきたぞ」
 すぐに大きなマグカップを二つ持ってジャッキーが戻ってきた。その一つを机に向かって勉強しているサラに手渡すとジャッキーはサラのベッドの上に座り込んだ。
「兄さん?」
「一人で起きてんのも辛いだろ?レポート出来るまでオレがつきあってやるよ」
 そう言ってジャッキーはにっこり笑う。
「兄さんにいてもらっても、手伝ってもらえるようなことないんだけど?」
「元々手伝う気なんてないさ。オレは可愛い妹が一生懸命勉強してるのを見守ってやるだけ」
 ジャッキーの言葉にクスリとサラが笑う。
「そんなの何か意味あるの?」
「さあね。だけど、起きてるのが自分だけじゃないってのは心強いだろ?」
「そうかしら」
 ジャッキーの戯言に苦笑するサラ。けれど、サラもまんざらではないようだった。

 何冊もの分厚い資料を使いながらサラがレポートを書き上げていく。カタカタとタイプライターの音が鳴っている。ジャッキーはそんな妹の姿を見守りながら、リーのブラッシングをしてやっていた。サラの邪魔にならないようにと特に話しかけることもなくジャッキーは静かに過ごしている。
 どれくらい時間が経っただろう。レポートが一段落し、休憩を取ろうとしたサラが振り返るとジャッキーがサラのベッドの上ですやすやと寝息をたてている。
「ったく、兄さんったら。何がレポート出来るまでつきあうよ」
 サラは苦笑して立ち上がる。リーを抱いて眠るジャッキーが目を覚まさないように気を遣いながらサラはジャッキーに毛布をかけてやった。
「くぅん」
 さすがにリーは敏感に目を覚ましたようだ。サラはリーの頭を撫でてやりそっと囁いた。
「リー、静かにしててね。兄さんが起きちゃうわ」
 つぶらな瞳でサラを見上げていた賢いリーは、そのまま再び眠りにつく。
「さてと・・・。もう一頑張りしなくちゃね」
 サラは静かに微笑んで再び机に向かった。

 外はすっかり明るくなっている。結局完徹でレポートを仕上げたサラは眠そうな表情で身支度を整えていた。そのガタガタという音でジャッキーが目を覚ます。
「ん…。あれ?」
 ゆっくりと身を起こしたジャッキーは状況を認識できないようでぼんやりした顔でぱちぱちと瞬きをしている。
「兄さん、おはよう。随分ぐっすり寝てたわね」
 明るいサラの笑顔。リーもとっくに起き出してサラの後をついて歩いている。
「あ…オレ、もしかして寝ちゃったのか?」
「思いっきり寝てたわよ。何がレポートできるまでつきあうよ」
 ジャッキーは決まり悪そうに頭をかいている。
「悪かったな」
 ジャッキーは照れを隠すように思い切り立ち上がった。
「兄さん、悪いと思うならお願いがあるんだけど」
「おう。何だ?」
 サラのお願いを待ちかまえるジャッキーにサラは言う。
「完徹したから眠いのよ。こんなんじゃとても車の運転できないから大学まで送ってくれない?今日はレポート提出だけなの。出したらすぐ帰れるから」
「OK。準備してくる」
 数分後ジャッキーの運転する真っ赤なスポーツカーがサラの大学に向けて出発した。助手席ではサラがすやすやと眠っている。妹を起こさないように、けれどもレポートの締め切り時間に遅れないように、スピードを微妙に調整しながらジャッキーは車を走らせたのだった。

【FIN】

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